配達
ユーザーのプレイスタイルによってかなり評価が変わるんじゃないでしょうか。私には合いませんでした。
理由は主に5つ。①自分のプレイスタイルと作品のテンポが噛み合わない、②ゲームと映画で楽しむ脳の回路が違う、③演出が気をてらっていて冷めちゃう、④バーチャルなつながりをそこまで求めていない、⑤女性キャラクターの描写に疑問がある。
①プレイスタイルと作品のテンポ:サクサク先に進む方にとっては神ゲーだと思います。私はゲームでしっかり寄り道する派なので、サイドミッション終わらせて、インフラを整えて、国道を通らせてから先のエリアに進みたい。この過程はすごく楽しいんです。なのに、それ以外でのテンポが噛み合わない。拠点でスキップ何回も押さなきゃいけないし、ムービー長く感じちゃうし、シリアスな展開に入っても「早く終わってくれないかな〜。国道繋げたいんだけどな〜。」とばかり考えてしまう。
いきなり異世界に飛ばされて知らない人と戦闘させられたときには「めんどくさい!配達したいのに!」と腹が立ってしまって、映像美も堪能できず…。なので、私のように寄り道して探索するプレイスタイルの方は一旦我慢して、メインミッションだけを頑張ってください。じゃないと挫折します。
②ゲームと映画:おそらくこの作品の目指すところは「ゲームと映画の融合」だと思うんです。うーん…、私はゲームではゲーム体験に集中したいし、映画を観るときは映画だけに集中したい。ゲームと映画で楽しむ脳の回路が違うんでしょうね。このゲームではその都度スイッチを切り替えなきゃいけない。そこで疲労が溜まってしまう。ゲーム中は映画を観たくないし、映画を観るときはゲームをしたくない。ここの感覚が合わなかった。
③演出:いかんせん世界観がややこしいので、セリフにも説明口調が多く、ムービーで疲れます。監督は設定が複雑なSFとかはお好きなんでしょうけれど、繊細な心理描写の表現にはあまり馴染みがないのかな…。いきなりダンスとかギターとか見せられても。会社にいる中年上司の面白くないギャグに無理矢理笑ってあげなきゃいけない気分になってしまう…。
④いいねシステム:途中で面倒になっちゃいました。SNSのヘビーユーザーにはこれが楽しいのかも。
⑤女性の描写:とあるシーンで気分が悪くなってしまいゲームプレイが困難な状態になりました。具体的に言うと「妊婦の腹を攻撃する」描写です。私には出産経験も流産経験もないんですが、こうやって映像で見せられると生々しくて生理的に無理でした。ゲームとはいえ、こういう描写を導入するのに抵抗が無いんだと閉口。キャラクターの不遇な身の上を強調する意図なのでしょうけれど…、なんというか女性の不幸要素が全体的にファッションなんです。重みがない。この監督さんのゲームデザインが好きでずっと買っているのですが、まあまあ女性の描き方にクセがあります。MGS4のBB部隊あたりから完全に付いていけなくなりました。フェチズム?
デススト1からは登場する女性キャラクターが「生身の女を知らない男性が想像だけでこねくり出したバーチャルな女性像」という印象を受けます。そもそも最初の設定からして女性にはセンシティブです。胎児をポッドに入れて道具として使うとか、今回は人柱だとか。問題なのは女性にとってこれだけセンシティブな内容を扱っているのに、それを補完できるほど女性というものをうまく描けていない事。どこか女性側の感性がいつも欠けているんです。まあ主人公がサムなので仕方がないんですが…。ゲームをゲームとしてどう割り切るのか。私には厳しかった。
ということでこちらの作品、サクサク進むプレイスタイルの方、ゲームと映画の両方を同時に楽しめる方、演出的な描写・倫理観に踏み込んでくる内容に抵抗が無い方、に向いていると思います。ひとつのゲームでいろんなジャンルが融合していて、ゲーム体験としてはかなりお得だと思います。買って損はしない作品です。